英国ロンドン中心部、サヴィル・ロゥにテーラー(紳士服の仕立屋)が集まりだした約200年前から、私たちテーラーの扱う生地は全て天然繊維です。
しかも、
ウール(動物繊維=羊毛)
シルク(動物繊維=蚕の繭)
リネン(植物繊維)
コットン(植物繊維)
カシミア(動物繊維=カシミア山羊の毛)
モヘア(動物繊維=アンゴラ山羊の毛)
・・・・ほとんどこの6種類の原料によって織り上げられた生地だけを使ってきました。
もちろんアルパカやキャメルもたまに追加されるし、ジャケットの起伏感を出すためにポリアミドが若干入るケースもありますが、全体のほんの僅かな量です。
天然繊維にはその原料が持っている特性が備わっています。
ウールなら保温性と放湿性、
リネンなら放熱性、シルクは保温性、コットンは吸湿性などなど。
人間が文明を築き上げる過程で、衣服と織物は発達してきました。厳しい自然環境を乗り越えて生きていくために、人間は周囲に存在する動物や植物から生地を生み出してきたわけです。
機能性が満たされると、人間社会特有のお付き合いやマナーを守るために服は進化します。
今日ご紹介するイタリアの生地ブランド ロロ・ピアーナ(Loro Piana)のリネンツイードは、営々と積み上げてきた服飾業界が生み出した、素材の叡智が詰まっています。
夏のツイードというと「暑い夏にツイード?」と思われるでしょう。しかしこの10年近く見た目も涼しげで実際に着てもさほど暑くないサマーツイードが次々に開発されてきました。
先日紹介したイタリアのフェルラ(Ferla)などはサマーツイードに力を入れて成功したミル(織物工場)です。
この分野ではロロ・ピアーナは豊富なサマーツイードのジャケットコレクションを発表しています。
中でもリネン、シルク、ウールの3種類の天然繊維をミックスさせて織り上げた「三者混」というカテゴリーでは毎春夏、ファッショナブルでハイクオリティなコレクションで人気です。
プロポステ・ジャケ(PRPOSTE GIACCHE)というシーズンオススメのバンチブック(生地見本帳)は、お客様からのオーダーが多数ございます。
デザインは、最近人気が戻ってきたシングル3つボタン 中一個掛け、ポケットはアウト、背中はサイドベンツを切りました。
春夏なので裏は背抜きにしてあります。裏地は桜色、、と言いますかピンクのペイズリー柄です。
ボタンは本水牛の明るめの艶消しを選んでみました。
淡いサックスのシャツはワイドスプレッドの襟型の中でも開きが大きいホリゾンタルワイドです。
ネクタイをセミウィンザーで少し太めに巻いくとバランス良く決まります。
フェアファクスのネクタイはシルク&リネンで、ジャケットとは質感の相性もいいですね。
実はこのジャケット、私がオーダーしました。
春のあいだはネクタイを締めて、夏はネクタイを外しリネンのシャツに合わせて、パンツは白のコットンにしようかな・・・など、楽しみですね!
これからいろんなシーンで、このバランスの取れた天然繊維生地のジャケットをフル活用しようと思っています!
Loro Piana Linen Tweed 300g/m
(73%Wool , 14%Silk , 13%Linen)
ジャケットお仕立て上がりプライス(税別)
BESPOKE (フルオーダー・仮縫付ハンドメイド)・¥243000
プレ・ビスポーク(仮縫付マシンメイド)・・・¥169000
パターンオーダーメイド・・・¥129000