いよいよ2018年も押し詰まって参りました。
アトリエの裁縫士、裁断士ともに年末はいつも大忙しです。
裁縫士は、年内納めの仕事の速度を落とすわけにはいかず、
年明け早々の仕事も詰まっていて、裁断士はその準備にかかりきりです。
暖冬予想とは裏腹に、いよいよここ南九州にも寒波が入って来ました。
寒くなると、洋服も毛足の長いサキソニーやフランネルを着たくなります。
今回ご紹介するのは、ネイヴィーのサキソニー生地で仕立てた「柔らかい」ジャケットです。
【お客様】
60代のレストランを経営されてらっしゃる方です。お仕事柄スーツよりジャケットを着用される機会が多く、ネクタイを締めることもあまりないようです。
アップルの創業者、スティーブ・ジョブス氏に似た雰囲気で、インナーはダークなニットでパンツは細身のこれも暗色がお似合いです。
【ご要望】
ダークでシックな色合いの柔らかい生地を使った、パットや芯地を極力省いたコンフォートな着心地のジャケットをお探しでした。
ご愛用されているジャケットはややサイズが大きめです。痩身のスマートなお客様は、お痩せになって見えるのは好きでは無いとのことで、サイズも自分の体型をカバーしつつ、大きすぎないゆとりのあるフォルムにしてほしいとの事です。
【生地選び】
冬に着用されるので、温かみがあり、かつ張りがある素材をご希望でした。そうなると毛足が一番長いフランネルほど柔らかくはなく、ほどよい弾力性がある質の良い英国製サキソニーウールから定番のブラック生地をお選びいただきました。
お選びになった生地は、英国のウェイン・シール。老舗の生地マーチャントで、最近はスキャバルグループの一員です。
WAIN SHIELL ROYAL SAXSONY 330g/m pure wool
【デザインとオーダー方法】
痩身でスマートなご体格には、シングル3つボタン中一個掛けのデザインにいたしました。
アウトポケットにしてブラック生地色の硬さを和らげ、ノーベントでモダンな雰囲気を出してみました。
【オプション】
ライニングをブラックのペイズリーにしました。あまり派手目を好まれないシンプルなジャケットに、ここだけ少し遊びを取り入れた感覚です。
ボタンはシックな艶消しの本水牛です
【当店で心がけたポイント】
やはりノーパッドの一枚芯でのアンコンストラクテッド(非構造的)なジャケットなので、普段からお仕立てしている立体感ある仕立てとは正反対に、柔らかさを随所に取り入れました。衿芯や袖山に入れる芯なども極力ソフトなものにしました。
【お客様のご感想】
コンフォートなノーパッド、一枚芯のジャケットは、アパレル市場では主流です。ただし、ご自身の体型にマッチしつつ、ミニマムなデザインにしたいと思うと、レディメイド(既製品)では手に入りません。BESPOKEはカッチリしたイメージですが、「ソフトかつモダン」でご自身の体型をカバーするジャケットが実現した、とのことでご満足をいただきました。
【三洲堂テーラーから】
当店のBESPOKEはどちらかといえば、英国源流の毛芯をしっかり使った、立体感があり包まれるような着心地を目指してお仕立てしています。
ソフトなアンコンストラクテッド・ジャケットのオーダーに対しても、的確なデザイン型起こしと緻密な縫製により、「ソフトかつモダン」な服が出来上がりました。
オーダーをいただくお洋服の一着一着が、私たちの型紙をはじめとしたアーカイブに記録され、仕立て職人の経験とスキルの上積みとなります。
お客様からの様々なオーダーで鍛えられることが、三洲堂テーラーの力になります!ありがたいです。
【オーダープライス】
WAIN SHIELL(ウェイン・シール) ROYAL SAXSONY 330g/m pure wool
ジャケット・お仕立て上りプライス(税別)
BESPOKE(フルオーダー・仮縫い付きハンドメイド)・・¥149,000~
Pre BESPOKE(仮縫い付き・マシンメイド)・・・¥96,200~
パターンオーダーメイド・・・・¥66,200
【一枚芯ジャケット&ブレザーの参考記事はこちら!】
①【ダブルブレスト】秋の夜長に今シーズンのトレンドを想う・・・