夜の正礼装、タキシードのオーダーが増えてきました。
ご結婚式の式服としてオーダー頂くケースがほとんどです。
※正しくは燕尾服が第一礼装なのですが、あまりに手間がかかる服の為、国内では国賓級の宮中晩餐会、著名な例ではノーベル賞授賞式のスェーデン国王隣席のパーティーなどでしかお目にかかりません。
今回タキシードのオーダーをいただいたお客様は、8月のご結婚式で着用される予定です。加えて高校の吹奏楽部の指揮をされてらっしゃるので、演奏会でもこれからどんどんご着用することになる、とのことでした。
タキシードには、シングル胸、ダブル胸の他に、ラペルのカタチを大まかに2種類からお選びいただかなくてはなりません。上の写真はショールカラーです。
三洲堂テーラーでは、約7割がショールカラーすなわち「ヘチマ襟」のオーダーをいただきます。ただし、上の写真の様なピークトラペル=「剣襟」も人気です。
「タキシード」は元々英国発祥の「ディナージャケット」がアメリカで流行し、「タキシード・クラブ」という団体が出来ました。クラブを主宰した方々が、リラックスしたムードのショールカラーを好んだがゆえに、タキシード=ショールカラーというイメージが定着したようです。
また、礼装のルーツである英国では、第一礼装の燕尾服がピークトラペルですから、自然にタキシードもピークトラペルにされる方が多い。
さらには、主宰、主役=ショールカラー、列席者=ピークトラペルという考え方もあります。
当店ではご結婚式に出席する新郎様が多いので、ショールカラーになるのも自然のなりゆきかもしれません。
私自身は両方持っていますが、もっぱら非日常感あふれるショールカラーを着用しています。
実はこの優美なカーブを描くショールカラーも、様々なカタチがあります。
細くてシャープなフォルム、今回の様なゆとりのあるフォルム、下ぶくれのぽったりとした優雅なフォルムなどなど。
ここはBESPOKEの世界です。
オーダーするお客様にピッタリのショールカラーが必ず存在します。スタッフと一緒にあれこれ考えるのも愉しいひと時です。
仕上がったタキシードをご試着いただきました。
立派な御体格のお客様は、もともとトランペット奏者でらっしゃいます。子供のころからジャズバンドに入り、トランペットを吹き鳴らしていたそうです。バストがとても大きいのは肺活量もあるのでしょう。・・・なので、どんなスーツを着ても胸が開いてしまい、困ってらっしゃるとのことでした。
着用すると、写真のようにまったく胸が開かず、指揮をするように腕をまわしてもストレスなくジャケットが吸い付いています。こんな服は初めてだ!とお褒めいただきました。
着用感がいい理由の一つは、生地がナチュラル・ウール・ストレッチ素材であるからです。最近人気のイタリア「トラバルド・トーニャ(TRABALDO TOGNA)」。
こんなにストレッチが効く生地はまずお目にかかれません。糸の成型からストレッチ性を加え、さらに特別な織機で織り上げています。
ボタンは共生地でくるみました。
ご試着のシャツは、ウィングカラー、ひだ胸、ダブルカフスです。
ライニングは少し遊んで、ブラックのペイズリーをお入れしました。
最後に記念写真をいただきました。
私はいつもながらの「引き立て役」です。
いいご結婚式になりますように!
心から祈念いたしております!
タキシード・お仕立て上りプライス(税別)
基本的に、BESPOKEでお請けいたします。
スーツS上下・¥178000+3万円*=¥208000より
※ラペル拝絹、トラウザー側章、くるみ釦などの作業費用とお考え下さい。