タキシードという服は、基本的に男性が一着は持つべき午後の正礼装です。
本来は「燕尾服」という午後の第一礼装が存在しますが、現代ではあまりにも手間がかかり、少し大げさな服装なので、その位置は次第にタキシードに譲りつつあります。
ただし、王室同士の晩餐会では今も燕尾服が正礼装です。また、ノーベル賞の受賞式後のパーティーでも燕尾服を着用しなくてはなりません。
※写真はスペイン国王夫妻を招いての晩餐会
最高の正装、燕尾服姿です。
しかし、現代では各国の宮中晩餐会などにおいて、礼装としてタキシード着用が一般的になっています。
タキシードの成り立ちは、18世紀末の英国の夕食時の正装である「ディナージャケット」が起源となります。ディナージャケットは19世紀の両大戦間にかけて、特にアメリカで流行しました。
ニューヨークのタキシードパークという名前のクラブで、ディナージャケットを着用してパーティーに参加していたメンバーのエレガントな装いが当時の社交界に広まり、いつしか英国生まれのディナージャケットは、一般的に「タキシード」という名前で呼ばれるようになったのです。
※ アメリカのオバマ元大統領との晩餐会
タキシードを着用しています。
最近立て続けにタキシードのオーダーをいただく機会がありました。
今回仕上がったタキシードがこちらです。
タキシードの特長はすばりその「襟」ですね。
大きく分けてこの写真のようなショールカラー(へちま襟)か、ピークトラペル(剣襟)になります。当店のオーダーの比率としては7対3位でショールカラーが多いです。
ショールカラーの生地はシルクを用います。服飾用語では「拝絹」と呼ばれます。今回はお客様のリクエストでこの拝絹をボディとは異なるネイヴィーにいたしました。
レンタル店や既製品では普通手に入らないのですが、フルオーダーメイドなら可能です。
ショールカラーの曲線もブランドやテーラーのよって様々なのですが、当店では今回の様なやや下膨れ気味のエレガントな「へちま」を描くようにしています。
一個ボタンのタイコ(付け合わせボタン)は共生地の「くるみボタン」です。袖もこのくるみボタンが付きます。
胸ポケットこそノーマルなハコポケットですが、コシポケットはフラップ無しの片玉ブチです。また背中はノーベントになります。
基本的に室内で着用されるので、雨蓋であるフラップは必要無いし、乗馬するわけではないので、ベント(=馬乗り)も要らないので、ノーベントとなります。
トラウザーは、側章と云う飾りがズボンの側面に付けられます。これは英国王室の式服の名残です。合わせる靴はこちらも外履きではないので、靴紐なしのスリッポンやパンプスです。
タキシードは基本的にスリーピースです。
アメリカではカマーバンドという腰につける太めの襞帯をつけますが、今回は共生地でウェストコートをお仕立てしました。また、シルバー系のシルクのジャガード生地で、同じくウェストコートと蝶ネクタイ、ポケットチーフもご用意しました。
ということで、お客様にご試着いただいたタキシードはとてもエレガントでお似合いでした。ご自身のご結婚式に着用されるとのことです。
心よりご結婚のお祝いを申し上げます!
タキシード上下・お仕立て上り基本プライス
BESPOKE(仮縫い付きフルオーダーメイド)・・・¥210,000から
ベスト・・・¥30,000から
カマーバンド・・¥15,000から
ウィングカラーシャツ・・¥12,000から
ほか、蝶ネクタイ、サスペンダー、チーフなど必要です。