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【今日のスタイル】趣味が高じて作ってしまったネイヴィー・ブレザー

2017年2月14日

私は映画や読書が好きです。

映画なら歴史物やSF,読書は政治経済モノ以外は「海洋小説」と云われる分野が特に好みです。

「海洋小説」とは18~19世紀、七つの海を制覇したとされる英国海軍を舞台にした分野です。その頃の軍艦は風を受けて進む帆船です。

 

 

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ヨットのような単純な一枚の縦帆で進む船ではなく、3本マストにそれぞれ3枚の横帆が付いていて、木造の二層から三層もある巨大な艦が主役です。トップは艦隊の司令長官や艦長から下は少年水兵まで、艦を動かす乗組員数は約600人~850人位必要です。そうなると当然ながらそこには社会と組織が必然的に持つ人間関係や軋轢が生まれます。主人公の活躍とともに重厚な人間ドラマ、組織ドラマが繰り広げられることが、海洋小説の醍醐味になります。

 

 

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特に英国人作家C.S.フォレスター作の「ホーンブロワーシリーズ」はかの国では国民的なベストセラーです。作品はの1800年頃の海軍軍人の実態をリアルに描いています。エキサイティングな戦闘シーンのみならず、当時の国際情勢や産業革命まっただ中の社会の変化によって、失業しお金に苦労する生活も描かれています。特に服装や会食シーンは精緻に描かれています。

 

 

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そこに描かれている文字だけで、英国海軍の士官が着用する軍服が当時としてもいかに高価であるか、安く済まそうとすれば安っぽい素材と悪い仕立ての服しか手に入らないことなど判ります。

また、金モールや軍刀、マントなどを質に入れざるを得ないシーンなども当時の物の値段を体感できます。

 

 

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19世紀中葉には、英国海軍の行動と生活様式はアメリカ海軍に伝わり、東洋で産声をあげたばかりの近代国家「日本」にも波及しました。日本海軍には基本的に英国伝来の作法が伝わり、日本独自の作法を加え、現在の海上自衛隊も英国海軍の影響が多数見受けられます。

その一つがネイヴィーの軍服になります。

 

 

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ようやく服の話題までたどり着きました。今回私がオーダーしたジャケットは、写真のようなネイヴィーのブレザーです。シングルやダブルの4個×1個掛けブレザーは持っていましたが、ボタンが6個あり、「正六つ」という呼称の3個掛け釦を配したブレザーは初めてです。

 

 

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生地はウール&カシミアのしっかりとした打ち込みのネイヴィーです。

当店にストックしていたロロピアーナのウール&カシミア、ブレザー用生地で仕立てました。

 

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私の身長では6個釦になると、ブレザーの丈が短く釦の配置が一番問題でした。

ここは「仮縫い」で確認しながら調整したので、安心でした。

 

 

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また、アトリエの黒木がこのブレザーを仕立ててくれましたが、各工程でこまめに着用して補正しつつ進めましたので、洋服屋の店主でメリットのある経験が久しぶりに味わえました!

 

 

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ボタンはどうしてもメタルにしたかったのですが、キンキラしたものは流行っていません。そこでなるべく渋めにブロンズ色の艶なしを選びました。

 

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共生地でウェストコートまで仕立てられましたから、寒さ対策も万全です。

 

パンツは英国サヴィル・クリフォード(Savile Clifford)のフランネルです。純白のウィンターコットンも惹かれましたが、すぐに汚してしまうことを考えてライトグレーのフラノを合わせています。

 

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カフスは体格があまり良くないので3つだけメタルを付けました。

 

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・・・とうことで、永らく夢見ていた小説や映画に出てくるような服を作ってみて久しぶりに満足感を味わいました。

 

みなさまもぜひそんな「趣味が高じて作った服」を着てみませんか?