冬ならではの素敵なドニゴールツイードのジャケットが完成しました。
「ドニゴール(Donegal)」は、アイルランド北部のアルスター地区に所属する州の名前です。北部アイルランドにありながら英国領ではない地区で、自然と昔からの街並みが残る風光明媚なところです。
アイルランドの有名な歌手エンヤ(Enya)さんもここの出身ということで、音楽文化では独特な音階と楽器が残る地区でもあるそうです。
このドニゴール州で古くから織り紡がれていた生地が「ドニゴール・ツイード」です。
特長はツイードならではの肉厚な織りに、様々な色合いの「ネップ」と呼ばれる糸を散りばめていることで、今回オーダーをいただきました、W.BILL社のドニゴールツイードもこのネップが美しくため息が出そうなほどです。
先月にはブルーグレイ系のドニゴールツイードのジャケットのオーダーもいただきましたが、このブラウン系のドニゴールも本当にいい雰囲気ですね!
「ドニゴールツイード」はいつのまにかツイードの種類の一般名称となり、日本人でドニゴール州がどこにあるのか判る人の方が少ないと思います。
一方ドニゴールツイード生地は、英国人が主役のスパイ映画「007」シリーズを始め、カッコいい英国人の主役が着る服として数々のシーンが残っています。
さすがにスコットランド人の俳優ショーン・コネリーは、ツイードが様(さま)になります。
ロジャー・ムーアやダニエル・クレイグもそれぞれのドニゴールが似合っていますね。
今回オーダーを頂いた、W BILL社のドニゴール・ツイードは、440g/m。ツイード生地としてはジャケット向けのミドルクラスのウェイトです。
スマートな2個釦シングルブレスト、スラントポケットにはチェンジポケットを追加しました。ツイードジャケットにチェンジポケットは相性が良く、英国人でも良く見かけます。ベントは当然ながらサイドベンツを切りました。
しっかりとした打ち込みの代表格であるツイードですから、立体的なボディや袖周りを作る作業は昔からのテーラーにとって、やり易い生地になります。
それにしてもネップの存在感が圧倒的です。
ボタンはスキャバル(SCABAL)の黒蝶貝をお選びいただきました。生地ブランドとは違いますが、黒蝶貝釦そのものの色合いがこのツイード生地に最もしっくりいきました。
ライニングはライトベージュにピンクがミックスしたロゴ入りのキュプラです。元来ツイードには明るいライニングを合わせるのが英国流です。表生地が実り豊かな表情なので、ライニングは少しクールな感じがいい、ということでこれもスキャバルをお選びいただきました。
オーダーいただいたO様と恒例の記念写真です。
相変わらずダンディなO様です。
ドニゴールツイードのジャケット・・・これから20年はお楽しみいただけます!