スキャバル(SCABAL)社については何度か解説して参りましたが、
ベルギーのブリュッセルとロンドンの双方に本拠を持つ、
主に英国生地をメインで取り扱う高級生地マーチャント(問屋)の最大手です。
シーズン毎に様々なコレクションを多数用意しているのですが、ジャケットもスーツも、古典的な英国伝統柄からモダンで旬なもの、アバンギャルド性を感じさせる柄行きまで、その幅広さには驚きます。
様々な映画の主役が着ているスーツやコートの生地を提供している事でも有名です。
007シリーズはその典型で、俳優ダニエル・クレイグも個人的にスキャバルが生地が大好きらしいです。
また、レオナルド・ディカプリオもいかにもなストライプスーツを着てウオール街の大立者を演じていました。
ということで、今日ご紹介するのはそんなスキャバル生地の中でも、とても正統派の英国らしいチェック生地のジャケットです。
典型的なガンクラブチェックのジャケットは、今から英国紳士が集う狩猟クラブの忘年パーティに行けそうな雰囲気ではありませんか。ぬるいエールビールで乾杯でしょうか・・・。
グレー系ベージュをベースとする生地に、3種類のチェックを交差させて、とても雰囲気の良いシックな柄を織り上げてしまう。・・・さすがスキャバルです!
しっかりとした英国らしい打ち込みの生地は、320g/mといったところです。カシミアが10%ブレンドされていて、生地のタッチはとても滑らかながら、柳のような柔剛性があります。立体的な服として仕立てがうまくいく生地ですね。
身頃(ボディ)と袖のチェックの縞を合わせる事は、基本中の基本です。
裁断士の正確なカットと裁縫士の仕立て技術の呼吸が合わなくては出来ない仕事です。
ボタンは本水牛、ライニングはベージュを合わせてみました。
スキャバル生地でしっかりと仕立て上ったガンクラブチェックのジャケット、これから永くお客様にご愛用いただける事と思っております。