鹿児島に限らず全国どこのご家庭でも、まったく使っていない着物地、大島紬や琉球紬などが箪笥に眠っているものです。
今日ご紹介する久米島紬も、お客様が30年以上前に沖縄でお買い求めになり、和服として仕立てようかどうかと迷っているうちに、そのまま何もせずに保管されていた反物です。
久米島紬は現在では生産量も少なくなりましたが、すべての工程、すなわち製糸から染め、織りまでを手作業で行っています。染料も久米島内で採れる樹木の天然物を使い、泥染めも人の手で行い、最終的には久米島ならではの独特な風合いの紬が仕上がることで有名です。
そんな貴重な久米島紬を、和服ではなく洋服にした方が着る機会が多いのではと思われたお客様から、ワンピース+ジャケットのアンサンブルでのお仕立てを依頼されました。
久米島紬が貴重すぎますので、まずシーチングという粗いコットン生地で仮縫いとフィッティングをいたしました。型紙に補正をした後、ようやく本生地をカットいたします。
この生地は、ベースが何とも言えない味わいのある黒、そこに久米島紬ならではの柄が入っています。
長さは一反12メートルでしたが、日本の紬ですので幅は約38センチしかありません。ここに日本の着物地の取り扱いの難しさがあります。和服ならそれほど手を入れず仕立てが出来ますが、洋服になるとそうはいきません。
普段の倍以上の時間をかけて、貴重な久米島紬を裁断していきました。
ワンピースはシンプルなAラインです。後ろファスナー、七分袖、ひざ丈ほどの長さになりました。
アンサンブルのジャケットは、珍しくショールカラーのシングル、フロントはホック止め、長袖になります。
仕立て上ったワンピースとジャケットを仕上がりチェックも兼ねて試着してみました。
久米島紬は当然ながらシルク100%です。
軽いのに、じんわりとした温かさがあります。
派手に見えた柄行きも、こうしてアンサンブルになるとアクセントになり、ベース生地の色合いの美しさもあり高級感が漂います。
ショールカラーの襟を立ててご着用になりたい、とのご要望もありきちんと毛芯をいれて崩れなように仕上げました。
貴重な宝物、久米島紬の反物がこのようにしてワンピースアンサンブルとして蘇りました。
皆さまもこのような着物地がございましたら、一度お洋服としてのお仕立てをお考えになってはいかがでしょうか?
着物の反物が12メートルほどありましたら、
ワンピース+ジャケットがお仕立てできます。
お仕立て代金は、デザインによって変わります。
BESPOKE(仮縫い付き・ハンドメイド)で対応します。
ご相談下さい!
テーラーの熟練職人と技術だからこそできるお洋服をぜひご体験ください!