台風一過となり、穏やかな晴天が戻りました。
しかし気温がいまだに28度を超えています。
「10月なのにまだまだ暑いですね~」という挨拶が続くようです。
アトリエは少し難しいデザインのレディスジャケットや、Super170ウールなどの超細番手生地のスーツ製作など、とても忙しくなっています。
このジャケットをオーダーしたお客様は腕の付き方が「前付き」になっていますので、チェックの縞をあわせつつ、袖を前に振り込みつつ仕立てます。
まだまだ気温が高いといっても、季節は確実に秋です。その後に冬がやってきます。
ということで、スリーピース・スーツのオーダーが多くなってきました。
ゼニアの冬生地の定番品「エレクタ(ELECTA)」は330g/mの深秋から冬向けの生地です。オーストラリア産スーパーファインウールという、Super130クラスの糸で出来た上質生地がエレクタです。
生地の柄は「バーズ・アイ」英語表記も、Birds-eyeとなっています。直訳すると「鳥の目」です。しかし辞書によると、Birds-eyeには生地柄とは別に、「鳥瞰(ちょうかん)」、すなわち空を飛ぶ鳥が地形を見るかのように、高い視点から客観的に物事を見るという意味が第一義として載っています。
作家の故司馬遼太郎さんは、この「鳥のように高い目で」歴史を視ると、人間個人では抗えない大きな歴史のうねりを感じることが出来る、そしてその中で活躍し挫折していく人間を描く事、それが私の小説の骨格にもなっていると記しています。
このバーズ・アイ柄も粒粒の鳥の目(玉?)は細かいのですが、生地として織りあがり視点を広げてみると、平織りの無地よりも、柔らかく奥行きが感じられます。そして若干カジュアルな雰囲気も出てきます。
クラシックなスリーピースをお仕立てになられましたが、このようなバーズアイ生地なら、インナーにハイネックのニットなど合わせても感じが良いでしょう。
ライニングとボタンはゼニアのオフィシャルを使っています。
ゼニアのライニングは幾何学模様のドットが入っていて高級感とデザインの面白さが感じられます。
かっちりしたスリーピース・スーツに少し洒落っ気が欲しいところなので、カフのボタンホールを1個のみエンジ色の糸で作りました。
早くもっと冷たくなり、冬の足音が聞こえてきてほしいものです。
その時はこのエルメネジルド・ゼニア(Ermenegildo Zegna)のELECTA三揃いスーツがきっと役に立ってくれることと思います!
Ermenegildo Zegna ELECTA 330g/m
スーツS三揃・お仕立て上り(税別)
SARTORIA・パターンメイド・・・・¥112,600から