一着のジャケットが仕上がりました。
仕立てたのは、職人・宮原孝明です。彼にとって初めての他人様に着てもらう記念すべきジャケットとなりました。
3年前に当店に入社して、最初はパンツの縫製からスタートし、ウェストコート(ベスト=チョッキ)の仕立てまでを先輩職人の加治木に習いました。そして数ヶ月前から先輩の大迫について、基本的な芯据えから部分縫いなどジャケットの仕立工程をみっちりと指導されました。
そして遂にスタッフの伊達が着用するジャケットを、
大迫の指導の元で「通しで」縫製いたしました。
これがメモリアルな「最初の一着」になったのです。
生地に関して言えば、縫製の仕組みが判り易いように、チェックを選びました。また、アイロンがよく効くフランネル生地になりました。
完成したジャケットは裁断士・伊達が自らカットしたものです。
さすがに自分の身体を熟知しています。襟もぴったりと首に吸い付いています。
良いジャケットの生命線である袖付けには、大迫の指導もかなり細やかになります。
袖付けの訓練は苦労した甲斐があり、本番では綺麗な袖付けと肩入れが出来ています。
驚くのはボタンホールの完成度です。
美しく仕上がり、先輩の職人から「コツを教えてくれ」と冷やかされていました。
腰ポケットもエッジの効いた小丸です。
伊達のリクエストにうまく応えてくれました。
袖はとりあえず3個釦の本切羽。
長い職人人生、いったいこれから何個のボタンホールを作っていくでしょうか?
台場の作り方も職人一人一人表現が違います。
大迫譲りのカーブした台場がエレガントです。
完成したジャケットを伊達に着せてチェックです。
緊張しながら細部を点検しました。
宮原が初めて仕立てたジャケットは、伊達の身体にぴたりと合っています。
破顔一笑の伊達と、ほっとした様子の宮原でした。
本格的な洋服仕立てのスタートを切った宮原、すぐ次の仕事に取り掛かっています。
丁寧に立体的に、細部まで魂を込めて。
当たり前のことですが、難しいことです。
三洲堂テーラーの多くの先輩方に続き、研鑽を重ねて「お客様がご満足いただけるお洋服」を仕立てる・・・・・。
宮原はじめ若い技術者達を 一層応援いただきますと ありがたく存じます!