リオ・オリンピックも後半戦に突入、様々な種目で日本選手が活躍していています。
こうオリンピックの報道が続きますと、理想的な体格をした選手たちのカッコいいスポーツウェア姿が脳内に焼きつき、仕事のスーツ脳にも影響を及ぼしてしまいます。
そんな中、劇的にメダル獲得数を上げた「柔道代表チーム」が帰国した会見を観ました。
選手たちはおそろいのチョークストライプのブレザーに、白いシャツ、少し不思議な水色のパンツ、白い革なのか合皮なのかわかりませんが、スニーカー風の紐靴をはいていました。
体格のいいスポーツマン達にはとても雰囲気があっていて、さわやかかつフォーマル感を漂わせていて良い感じです。入場式の赤いブレザーと白いパンツは日本代表のお決まりですが、明るいネイヴィーのストライプジャケットは、男女ともにお似合いでした。
ストライプ柄の起源はいろいろと説があります。ただし、古代、中世、近世までのフォーマル的な衣装の画像にはストライプが見当たらず、わずかに1900年を超してから男性のスーツやジャケットに用いられるようになった事が判ります。下の写真は、英国王の写真になりますが、順に1901年即位のエドワード7世、1920年頃のジョージ5世、1930年代のウィンザー公(英国王を辞めてしまいましたが)の写真です。
20世紀初頭から第二次世界大戦間において、それまで無地が圧倒していたスーツの柄は、エスタブリッシュメントの頂点に立つ英国王周辺からの発信で、一気にカジュアル化していったとされています。
保守的で頑固なジョージ5世でもウィンドウペンのスーツを着ています。さらに「永遠のダンディ」ウィンザー公に至っては、チョークストライプダブルブレストにチーフを差し「粋」なことです。
ストライプ柄の中でも、一番シャープな「ピンストライプ」から、縞の色がややファジーで若干太めの「チョークストライプ」、まるでチョークでラインを引いた様な「チョークストライプ」など、着用する場面や雰囲気でストライプも選ばれています。
ピンストライプは、細やかなピンヘッドが一列に並び、大変ドレッシーになります。反面お洒落度が行き過ぎになることもあります。
今回オーダーを頂いたスーツの柄は「チョークストライプ」ですが、目立たずシックですから、クラシックなフォーマル感も漂わせつつ、柔らく程よいカジュアル感も持っています。
生地はエルメネジルド・ゼニア(Ermenegildo Zegna)のクール・エフェクト、210g/mの夏物です。
夏に着用しても快適で、シワなどの回復性も良く、今シーズンも大変人気がありました。
オーダーされたお客様は今月末にイタリア、ローマで国際会議があり、場面に合ったスーツを着用しなくてはならないとのこと。様々な生地をご検討された中で、最終的にこのシックなストライプ生地でお仕立ていただきました。
ボタンとライニング(裏地)もゼニア社のオフィシャルを使いました。
いつも思うのですが、ゼニアの本水牛ロゴ入りボタンは立体的で雰囲気があります。上質な表生地はもちろん尚ですが、ボタンやライニングにもこだわって質の良いものを選ぶと、仕上がりが違ってきます。
このストライプ・スーツが、来週にはイタリアへ旅立つお客様のご活躍の一助になれば、テーラーとしてありがたいことです!