スーツは元来フロックコートやモーニングコートのような着丈=テール(尻尾)が長いデザインでした。
18世紀後半の英国において、中産階級のビジネスマンが社会で活発に活動し始めると、丈の長いコートのような上着は敬遠され、テールを切り落とした私たちがイメージするスーツが主流となりました。
着丈は短くなりましたが、スーツはスリーピースすなわち、ジャケット+ウェストコート(ベスト、チョッキの事)+ズボンの「三つ揃い」が基本です。
20世紀中頃までの社会を写した写真には、ほぼ100%スリーピーススタイルの紳士たちが格式高く、誇りを持って佇んでいます。
私たちビスポークテーラー(BESPOKE TAILOR)では、季節を問わず春夏でもスリーピーススーツのオーダーが舞い込みます。
格式が高く、周囲の見た目も着ている自分も意識を高く保てる事がスリーピースの特長ですが、さすがに夏は暑いのでは・・・と思います。
しかし、空調の利いた部屋ではウェストコート+ズボンの仕事着も様になるのです。
今回オーダーを頂いたスリーピーススーツ、生地はスキャバル(SCABAL)のMAJESTIC生地コレクションから、「IMAGE」260g/mのサマーウールをお選びいただきました。
やや明るめのネイヴィーに上品なウィンドウペン(窓格子)柄が刻まれた、いかにも英国の上質紳士服地という雰囲気です。
上着を仕立てた職人はベテランのFです。肩をきっちりと入れた立体的でクラシックな面持ちのジャケットになりました。
スリーピースですが、春夏生地なのでジャケットは背抜き仕立てにしました。
ライニングとボタンはスキャバルのオフィシャル。
ピンクのロゴ入りライニングがさわやかです。
ウェストコートの背中にもジャケットのライニングが付きます。
ジャケットを脱ぐと、そこにまた新鮮な驚きがある・・・・。
そこがスリーピースの最大のメリットでしょうか。
お客様は合わせてクレリックシャツなどもオーダーされました。
上質なスーツには上品なシャツ生地が必要です。
これから年末まで・・・このスリーピーススーツがお客様のお役にたてるよう、心から祈念いたしております!
参考プライス
SCABAL MAJESTIC `IMAGE` Wool 260g/m
スーツ三揃(スリーピース)お仕立て上りプライス(税別)
BESPOKE(仮縫い付きハンドメイド)・・・¥254,000から
SARTORIA(パターンメイド)・・・¥138,000から