ダブルブレストのスーツは重厚感があります。
18世紀中葉より、英国海軍では士官候補生の制服として、本格的にダブルブレスト(通称W)のジャケットが採用されました。
当時の帆船型軍艦の勤務は、常に風向きを考慮に入れて、艦を進ませなくてはなりません。中でも英国海軍が活動するドーバー海峡や北海などは、常に冷たい風が吹きます。
したがって、ジャケットは打ち合わせを深くし、風と波しぶきが入らないように、左右どちらを上前にしてもいいように、ボタンとホールを開けていたようです。
・・・・時は流れ、現在のダブルブレストは、無数についていたボタンの数も減り、6個ボタンが主流になりました。
6個ボタン2個掛けの「正六つ」と呼ばれるジャケットは、各国のロイヤルファミリーの方々も愛用されています。英国のチャールズ皇太子、今上天皇陛下もダブルブレストスーツをよくお召しになってらっしゃいますね。
今回、オーダーをいただいたお客さまは、以前シングルでディレクターズスーツをお仕立てになられた方ですが、今回はダブルブレストの三つ揃いスーツをお仕立ていただきました。
「正六つ」という、6個ボタン2個掛けの正統派ダブルは、とても雰囲気良く仕上がりました。
生地はイタリアの高級生地メーカー、「タリア・デルフィノ」のSuper130`s wool 250g/mです。
ポケットはフラップ無し、ノーベント。パンツも1タック、フライフロントのボタン留め、サスペンダー専用と、まさに正統派といえるブラックスーツです。
本日はこのスーツをご着用されて、ご披露宴に出席されるとのこと。
上品でかつ厳かなダブルブレストスーツは、きっと宴にシックな華を添えてくれることと思います!
次第に復活し始めた、ダブルブレスト・・・皆様も一度トライしてみては如何でしょうか?