オーケストラの定期演奏会の正装と言えば、基本的に燕尾服(ホワイトタイ)となります。
しかし、春から夏にかけてのややカジュアルな演奏会では、指揮者も奏者も含め全員が白のジャケットを着用することもあります。
やはり、夏の解放感と見た目を意識しているのだと思います。
今回、お仕立てさせていただいたホワイトジャケットは、吹奏楽の指揮をされる教諭のお客さまからのオーダーです。
毎年夏に定期演奏会があるのですが、今までは黒のタキシードをご着用されていたとのことでした。
しかし、生地がやや厚めで、とても夏の演奏会には向かないので、いよいよ白い夏用のタキシード(ディナージャケット)がお必要とのことで、お仕立てになられたのです。
優雅なショールカラー(へちま襟)は、まさに盛装としてふさわしいエレガントな雰囲気をもたらします。
シングルブレスト一個釦ですが、タイコ釦になっています。
「タイコ釦」とは、右身頃の付く釦の裏側に、もうひとつ釦を取り付け、2個の釦を正面に見せる形になる、釦の取り付け方法の事です。
タイコ釦の少し上から、ラペルが優雅にロールしています。ここが、このホワイトタキシードの「要」といえるポイントです。美しいロールは、職人の細やかな「ハ刺し」を施すことにより、生み出されるまさに「職人技」です。
釦は「練りボタン」で、生地の色調に合わせた、ややクリーム色の立体感あるものを選びました。
ライニングは冒険でしたが、シルバー系のものをチョイスしました。
このホワイトジャケットが、この夏の定期演奏会で、指揮をされるお客様のより一層のお力添えになれば、細心の注意を払って、お仕立てをさせていただいた私たちテーラーにとっても、大変ありがたいことです♪