このウェブサイトでも夏生地の素材として、「モヘア」、「サマーキッドモヘア」などを紹介してきました。
この「モヘア=Mohair」は、もともとトルコの中央部、アナトリア半島のアンカラ(旧名アンゴラ)地区で繁殖されてきた「アンゴラ山羊」から採集されます。16世紀のオスマン帝国は貴重な外貨獲得商品として、これを手厚く保護しました。
当時、首都ウィーンまでもオスマン帝国に攻撃された、神聖ローマ帝国皇帝・カール5世は、この貴重なアンゴラ山羊を獲得して、オスマン帝国の力を削ごうとしていたほどです。
・・・時は下り、斜陽のオスマン帝国は、英国のヴィクトリア女王の強い求めに応じ、複数の「つがい」のアンゴラ山羊を、献上品として贈ります。案の定、オスは全て去勢されていました。ところがオスマン側が厳しくチェックしたにもかかわらず、後日一頭のメスが、オスのアンゴラ山羊を出産。ついにモヘアの独占は崩れたというわけです。
素敵な「モヘア」をもたらすアンゴラ山羊は、現在南アフリカとオーストラリア、ニュージーランドという英国の植民地で繁殖しているのも、これがきっかけなのです。
前置きがすっかり長くなりました!
この歴史ある南アフリカ産モヘアを30%、Super120ウールとブレンドして織り上げた生地で、明るいブルーグレーのスーツが仕上がりました。
シングル2個ボタン、センターベントの正統派スーツは、「モヘア」が持つ、しなやかな弾力性、シャリ感により、裁縫士の手により立体的に仕上がります。
見た目の光沢感と、シャリ感から、「夏の高級紳士服地」の代名詞となっている、モヘア&ウール生地。
英国人がもたらした、この生地は高温多湿な日本で珍重されています。
容易に手に入れにくい素材ですが、三洲堂テーラーには「モヘア」の守護者、「Taylor & Lodge(テーラー&ロッジ)」の生地コレクションを始め、多数の現物生地やバンチブックや揃えております。
皆様もぜひこの夏、「モヘア&ウール」のスーツをご検討ください!
Taylor & Lodge(テーラー&ロッジ) ウール&キッドモヘア(60%)
スーツS上下・お仕立て上がり
BESPOKE(仮縫い付き・ハンドメイド)・・・・¥240,000から
SARTORIA(パターンメイド)・・・・¥120,000から