・・・ イングリッシュ・ドレープ・・・スーツ好きな方ならご存知のワードかもしれません。
1030年代を中心に英国で流行した、肩幅胸幅ゆったり、ウェストを絞り、ヒップは優美にフレアにして、フロントをカッタウェイにする・・・、という男性美を意識したスーツスタイルです。
ここでいう「ドレープ」とは、ジャケットの胸からウェスト周辺にかけての優美な曲線や陰影のことです。
着用する方が胸幅ひろく、ウェストが絞られている理想的なご体格の場合、このドレープが優美に現れます。しかし、世の中そのような理想的な体格の男性は少数かと思います。
どちらかというと、日本人は私の様なややぽっちゃり型の体型が、多く見受けられます。「イングリッシュ・ドレープ」とは、このような体格の男性でも、テーラーのカットにより、美しくウェストが絞られるスタイルです。
このほど仕上がったスーツは、素材がドーメル社の英国製ツイード生地で、胸からウェストにかけての優美なラインが、まさに「イングリッシュ・ドレープ」の典型といえます。
シングル胸に、ピークトラペルは、このドーメルのグレーの英国生地とマッチしており、とてもシンプルかつ貴族的な印象を持たせてくれます。
丁寧な「ハ刺し」により、ラペルはふんわりとバストに乗りこみ、綺麗なロールを描いてくれました。こうしたポイントも手縫いならではの醍醐味でしょう。
ボタンは本水牛、ライニングはレッドのペイズリーです。ビビッドな反対色が英国らしいところです。職人のハンドによるボタンホールが施されています。
三洲堂テーラーの基本的スタイルとも言える、イングリッシュ・ドレープのスーツは、着用するすべての男性に普遍的な美しさを与えてくれます。
皆様も、ぜひスーツスタイルの基本的な美しさを保証する、「イングリッシュ・ドレープ」で、この春夏のスーツをご新調されてはいかがでしょうか・・・?