当店では、はじめてBESPOKE SUITSを仕立てられた、N様。
理想のスーツは、英国首相のチャーチルやイーデンといった、ジョンブルを体現しているかのような正統派クラシックなイメージでした。
お手持ちのヘンリー・プールのジャケットは、標準よりほんの少し大きめのサイズでしたが、体格の良いN様が着用されても、馴染んでいて、大いに見本にさせていただきました。
今回お選びいただいたのは、ドーメル社の英国生地「TONIK」。
私が子供のころから当店でも人気の、4Plyの英国を代表するモヘア&ウール生地です。
最近はこの「TONIK」も、旧来のヘビーウェイトから、ノーマルなウェイトになり、合服生地としてより扱い易くなってきました。
この生地の良さは、皺になりにくく、しかも光沢があり、自然な高級感にあふれているところです。
スリーピース・スーツは、N様のご要望で、タイトな感じにお仕立てしました。
裏地は、本当に久しぶりのモヘア混裏地を使いましたが、いい感じに馴染んでいました。
スーツが仕上がり、着用されていますと、N様が今にも英国の議会から出てきたかのような雰囲気になりました。スーツが本来持っている「力」は、このようなイマジネーションをどこまでも膨らますことが可能であることにあります。
着る人にも、それを見る人にも、姿勢の良さとストイックさを求められる・・・。英国生地で仕立てたスーツには、そんな迫力を感じます。
今後とも末長くご愛用いただきたい一着となりました。