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【ダブル】英国的ダブルブレストスーツの魅力

2015年11月1日

映画「The Imitation Game」(邦題:イミテーションゲーム/エニグマと天才数学者の秘密)は、第二次世界大戦中に「解読不可能」と評されたドイツ軍の暗号機「エニグマ」に挑む、英国の若き数学者、アラン・チューリング教授を描いた作品です。

 

 

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意外なことに、アラン・チューリングの名前を私は知っていました。というのも、一時期ゼロックス社に身を置いていた頃に、優秀なコンピュータ技術者に与えられる「チューリング賞」が有名だったからです。今は伝説となったゼロックスのIT基礎技術研究所、PARC(パロアルト・リサーチセンター)の研究者たちが、この「IT業界のノーベル賞」を受賞していました。

 

そして、アランチューリングは現在にいたるコンピュータ技術の基礎を作ったことと、しかもそれが第二次世界大戦のエニグマ暗号解読作戦により、次世代のコンピュータ開発に大きく寄与した事実は、歴史上の出来事ととして、心の琴線に大いに触れたものでした。

 

 

 

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それはさて置き、映画では、ベネディクト・カンバーバッチ扮するアラン・チューリングは、海軍の監督下でエニグマ暗号解読に挑みます。当然上司も海軍中佐になります。またチャーチル首相直属の英国情報部MI6のオフィサーも登場します。その二人とも映画の中では、立派なダブルブレストスーツを着ているのです。

 

 

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まず、チャールズ・ダンス演じる海軍中佐は、ダブルブレストの英国海軍式の制服を着ています。黒っぽいダブルの制服が押し出す迫力は、姿勢の良さとその振る舞いから、権威主義者と判るようです。中佐以外の軍人たちは皆軍服姿なので、凛としたダブルの制服が目を引きます。

 

 

 

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一方、マーク・ストロング演じる、チャーチル直属の情報機関の高官ミンギスは、素晴らしい仕立てのネイヴィーのチョークストライプのダブルブレストスーツを着こなしています。この俳優さんは「裏切りのサーカス」でも重要な役で出演していました。とても英国的なスーツが似合います。

 

 

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現代のダブルブレストのデザインは、映画の世界と同じ6個ボタン2個掛け、サイドベンツというデザインが主流です。
当店でもダブルのスーツが次第に復活しつつあるように感じます。正六ツ と言われるこのスタイル、これからの季節はやはりフランネルのストライプをチョイスしたいものです。

 

 

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スリーピースと並び、男性美を感じさせるスーツ姿、それがダブルブレストだと言えます。
同じくチェスターコートもダブルブレストなら、余裕ある大人の表情になります。

 

 

 

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三洲堂テーラーは、お客様の魅力をさらに引き出すダブルブレストをご提案いたします。皆様も是非一着お揃えになってはいかがでしょうか?

 

 

 

【新作品】 Here comes the FLANNEL SUITS!

2015年10月29日

フランネルの季節になりました!

 

現在の気温16度。風も冷たく感じられます。いよいよ寒くなって来たかと思えば、早速フランネルのスーツを掴んでしまします。

 

しかも、あの桜島の降灰が全くなく、数日前に大雨が降ったおかげで、大気が美しくかぐわしいほどの快適さを感じます。桜島の灰であれ、PM2.5であれ、服にも身体にも良くないものは、無い方がいいですね。

 

 

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英国物のスパイ映画「tinker tailor soldier spy」は、邦題に「裏切りのサーカス」という、トホホな名前が付いていますが、本格的な英国男性のファッション感覚が解る映画です。

 

季節設定がほぼ晩秋と思われる頃合いの、英国諜報部(通称サーカス)の管理職の男性たちが着ているスーツの素材は、ほぼ全員フランネルまたはサキソニーといった冬生地です。それにほぼ全員トレンチコート。

 

まず、主人公スマイリー(ゲイリー・オールドマン)も、

 

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友人のやり手スパイ(コリン・ファレル)も、

 

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あのベネディクト・カンバーバッチも、うす茶のフラノです。

 

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失意の管理職のジョン・ハートも(ちなみに、この人は私の中では、妙に「エイリアン」最初の犠牲者のイメージが強い人です・・・・)。この人はツイードのヘリンボーン三つ揃いでした・・・。

 

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今回パターンメイドSARTORIAでご注文をいただいたスーツは、

メイドインイタリアですが、カノニコのフランネルスーツです。

 

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味のあるチョークストライプが、明るめの柔らかなネイヴィー生地に乗っかっていて、いい雰囲気を出していますね。340g/mですから、これからしばらく冷たい季節にはもってこいです。

 

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フランネルはご自身の着心地も暖かなのですが、周囲の方の印象も暖かくさせます。しかも、「お洒落だな」と思わせる効果も大きい。

 

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ボタンは本水牛、カフスのボタンは4個の重ね付け、

一番下のボタンホールの糸色をエンジにしています。

 

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ライニングもこだわりを持って選ばれました。

グリーン基調のブラック・ウオッチは、英国の伝統柄です。

 

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これから、イタリア製の上質フランネルスーツを英国紳士のごとく、日常的に着こなしていかれることと思います。眺めているだけでも楽しくなるフランネル・スーツですね。

 

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CANONICO FLANNEL SUITS

 

340g/m Super100`swool

 

SARTORIAパターンメイド・・・¥75,500~

 

 

【フォーマル】エレガント!ショールカラー・タキシード

2014年6月7日

このブログでも、ときおりタキシードのご紹介をしています。

 

今年は、タキシードのご注文がことのほか多く、

正統派の紳士服飾文化伝統継承者を名乗る(笑)、当店としては、

とてもうれしい事態です!

 

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タキシード姿のカッコいい男性をを最も多く観察できる行事としては、

年に一度のオスカー受賞式に勝るものはありません。

 

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今年、一番雰囲気の良かった、タキシード姿のアクターは、この人。

 

映画「ジャンゴ 繋がれざる者」 で、ドクター・シュルツ役を演じて、

見事、オスカー助演男優賞を獲った、男優クリストフ・ヴァルツ。

ノーマルなノッチラペルのタキシードを優雅に着こなしていました。

 

 

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このたび完成したタキシードは、ショールカラーのエレガントなフォルム。

あまり下膨れしていない、すっきりとしたショールカラーが、若々しいです。

 

 

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ショールカラーに被せてある「拝絹(はいけん と呼びます)」、

共生地でくるんだ釦、パンツの側章・・・

・・・漆黒の美は、男性の究極のフォーマルウェアと云われる所以です。

 

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パンツには、「側章(そくしょう)」が付きます。

古き時代の、紳士(ジェントルマン)たちの軍服の名残です。

 

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生地は、Loro Piana TASMANIAN Super150`s Wool

ウェイトは250g/m。 オールシーズン使えます。

 

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優美なタキシードは、6月末のエーゲ海クルーズで活躍のご予定です。

船旅ならではの、「ブラックタイ」着用です。

 

 

 

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クルーズの後も、夕方以降のご披露宴や、オペラ鑑賞、パーティーに

「決めの一着」として、ご愛用いただけることと思います!

 

【映画】TINKER TAILOR SOLDIER SPY (邦題「裏切りのサーカス」)のスーツ

2014年4月13日

写真は使い古された文庫本。この面白い本と映画についてお話しいたします。

 

 英国を代表するスパイ小説家、ジョン・ル・カレの名著「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」を、私は大学生の頃に初めて読みました。

 

英国諜報部(通称「サーカス」)の中枢で活動する二重スパイ(もぐら)を、主人公が丹念に追い詰めていくという物語です。この物語の重厚さ、諜報部に勤務する英国人たちのリアルな描写、様々なパズルが最後に一つの方向に向かっていく「巻き込まれ感」、謎解きが収斂していくカタルシス、エンディングの「癒され感」・・・。

 

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最初に読んだときは、ウンベルト・エーコの「薔薇の名前」ほどではないですが、読んでいる途中、何度も考え、思い出しながら進まないと本筋が見えなくなる、そんな重厚な作品です。

 

現在私は48歳ですが、この作品をこれまで2回再読しました。再読するたびに、新しい発見に驚きます。自分が歳を重ねていくたびに、登場人物たちの人生の楽しみと哀しみを、身にしみて感じます。

 

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この小説が映画化されました。邦題は「裏切りのサーカス」。この邦題の良し悪しはさておき、映画そのものはとても良質で見ごたえがありました。

 

諜報部の元指揮官が裏切り者を高官5人にまで絞り込み、各人に付けた「あだ名」が、ティンカー、テーラー、ソルジャー、プアマン、ベガマンでした。

直訳すれば「鋳掛屋、仕立屋、兵士、貧乏人、乞食」です。英単語なので各単語に語源からくる複数の意味があり、Tinker[ティンカー]には、「下手な職人」「騒ぐ人」、「テイラー」にはラテン語の「適合させる」「切る」という意味もあります。そんなことを思いながら読むのも楽しいものです。

 

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映画は、70年代の英国を忠実に再現しています。スーツはフランネルやサキソニー系の英国らしいグレーやネイヴィー、茶色の基本スリーピース。

 

コートはキャメルのチェスターだったり、正統派トレンチコートやダブルのPコートだったり。

いつも雨が降っていて傘をさしたり、濡れ鼠だったり。

今風のSuper120的艶やかな服はまだ登場していません。

 

車は何とシトロエンDS。おお、現役で元気にふわふわと走っているではないですか!音楽はシャンソン、お酒は美味しくなさそうなシェリー酒。

 

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主人公「ベガマン」ジョージ・スマイリーには、名優ゲイリー・オールドマン。

 

最近は良心的な役がついていますが、ちょっと前までは「レオン」の極悪麻薬捜査官、フィフス・エレメントの狂った武器商人と、彼の出る映画すべてが彼のクレイジーな魅力で面白い、という人です。

 

初老で引退し、妻を寝取られたさえない中年スパイにぴったりの彼が、次第に「モグラ」をいぶりだしていく過程が静かで力強いタッチで描かれていました。

 

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「英国王のスピーチ」で主役を演じたコリン・ファースは、「テイラー」とあだ名を付けられています。

 

その名のごとく洒落者で魅力的、そして有能ながら、その正反対の欲深かつ不道徳な一面を時折ギラリと見せる。物語後半の圧倒的な存在感が見ものです。

 

他にも名優が出演しています。

 

「シャーロック・ホームズ」で一躍有名になった、デイヴィッド・カンバーバッチは、特に重要な役で、味わい深い演技をしています。この人のスーツスタイルも観てほしいです。

 

主人公のコスチュームデザインは、ポール・スミスが手掛けています。3つ釦のクラシックなスリーピースは、そのくたびれ感といい、映画のリアリティを深めます。

 

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映画を鑑賞しつ、スーツ、音楽、車、タバコと酒、人生をじっくり味わえるサスペンス作品を、皆様にもぜひ観てほしいものです。

 

ただし、007シリーズのようなアクション物ではありませんので、ご注意を。劇場の人物相関図を事前に頭に入れておくと、より判り易く楽しめる・・・はずです。

 

 【旧BLOG アーカイブ】 2012年8月

※旧三洲堂テーラーBLOGから、皆さまのリクエストで再度このHPに記事をUPいたします。